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旧小田小学校本館
※本文とは関係ありません
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久し振りずくめもいいところで、風邪の発熱と、アルコールとで、いい塩梅で前後不覚に陥り、洗顔している僕の鼻腔に懐かしいニホヒ。
つまり、頬っぺのニキビや友人らの好奇の視線に耐えながら神妙に頷いた担任の教員の説教や、
窓辺に着いた灰のことを気づかないふりして僕の居なかった教室の様子を、まさにその窓越しに話す担任の教員のこと、
それらを呼び覚ますこのニホヒ。
あぁ、あの時感じたニホヒの根源はここにあったのね。
や、久し振り!ここにいたのか!
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白髭神社湖中の鳥居(今日の最遠到達地点) |
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西国三十三所 第十二番霊場 岩間山正法寺 |
お風呂場のカランから滴がひとつ落ちて、それを合図に舞台の緞帳が上がる。
第一幕、僕は厨房で忙しなく動いている。
大きな寸胴鍋に煮立つスープを、片手鍋ですくいとり準備してあった小鉢に取り分ける。キッチンタイマーのアラームを止めながら、ゆで鍋から麺の入ったザルを取り上げ、素早く湯切りをし、スープをこぼさないように小鉢に麺を落としこむ。菜箸で麺を軽く整えながら、具材を盛り付け、カウンター越しにホールのウェイトレスに声をかける。
二つ目の滴で第二幕。
僕はフォークリフトでパレットに積み上がった空の一斗缶を運んでいる。
里山に囲まれた工場の建家の中に入ると、有機溶剤の臭いが強くなり、換気音が一段と大きくなる。一斗缶の山越に年輩の工員が手を挙げて、ここに下ろせと合図をしている。
僕は鷹揚と樹脂のこびりついたレバーとハンドルを操作し、溶剤と樹脂が渦巻いているタンクの前にパレットを下ろす。
三つ目の滴が呼び出したのは僕の祖父。
実家の居間で火鉢にかざし手を揉んでいる。僕と同じ笑顔を浮かべる表情は温厚そのもので、狂気は感じられない。どてらの袖口から、僕が形見にもらったTechnosが覗く。そのTechnosに気をとられ、祖父が言ったことを聞き逃す。
もう一度言うように促したとき、次女の寝返りで幕引き。
冷たくて明るい青空に冬枯れの田畑が余韻となった。
道の先に朝陽のあたる様子、今年の私の境遇を暗示するようであったと、今思い返します。 この山を乗り越えれば、と汗ばむ初夏を今年も駆けずり回った。 片や村には祭が戻りました。 皆の新年に幸多からんことを、切に願わずにはいられません。 青信号は「進んでもよい」? 否、進め、いざ!